教授ご挨拶

教授 西川 祐司

教授

 

 私は本学に6期生として入学し、卒業後、初代教授 故下田晶久先生が主宰される病理学第一講座において大学院生として病理学を学びました。大学院修了後、第2代教授として赴任された小川勝洋先生(現名誉教授)のもとで助手を務め、1993年12月から米国ピッツバーグ大学移植研究所のブライアン・カー教授の研究室で実験に専念しました。1998年5月からは榎本克彦教授の主宰される秋田大学医学部病理学第一講座(現在は秋田大学大学院医学系研究科 分子病態学・腫瘍病態学講座)で講師、准教授として研究、教育、診断に従事し、2009年11月16日付けで本学に戻ってまいりました。 赴任して以来、皆様の暖かいご支援のおかげで、順調に教室の基盤を整えることができました。ご協力に心より感謝いたします。これからスタッフ一同、本格的に病理学教室としての活動を開始したいと考えております。

 現在の私たちの主な研究分野は、線維化を伴う慢性肝障害における肝構成細胞の病理です。特に、胆管が異常に増加する現象(細胆管反応)について興味を持ち、研究を進めてきました。最近はこれらの研究を応用して、古くて新しいテーマである肝内・肝外胆管発生過程の解明に向けて、遺伝子改変動物を用いた検討を行っています。また、肝障害に伴う肝細胞の分化異常、増殖異常(発癌)を個体レベルで調べるため、肝細胞を標識し、長期間追跡する動物実験モデルの構築を目指しています。その他、肝以外の慢性炎症性疾患(肺、腎、腹膜線維症など)の病態解明や治療法開発に向けた研究を行うとともに、当教室がこれまで培ってきた分子腫瘍学的研究をさらに推し進めていきます。上記の研究活動とともに、病理学教室の根幹をなす病理診断には病理部、免疫病理分野の先生方と協力しながら、意欲的に取り組んでいきます。また、学内・学外を問わず、共同研究を進めていきたいと考えておりますので、私たちに何かお手伝いできることがあれば、いつでもお声をお掛けください。

 学生教育も私たちにとり重要な課題です。特に最近は、医学における基礎医学の意義、研究することの意味が忘れられていく傾向にありますが、病理学の豊かな世界を通じて大切なメッセージを伝えられるよう、自ら研鑽していく所存です。教室はできるだけ開放的な雰囲気に保ち、抄読会や輪読会などの課外活動も積極的に行っています。学生の皆さん、いつでも遠慮せずに、私たちの教室を訪ねてください。教室の中では権威の方法を可能な限り排除し、科学の方法によって一緒に考え、ディスカッションできるよう心がけています。

「此の道(学道)は人人具足なれども、道を得る事は衆縁による。人人利なれども、道を行ずることは衆力を以つてす」(正法眼蔵随聞記第四)は私の座右銘の1つです。今後、病理学教室が多くの人々が集う、自由で生き生きした学問の場になるよう、微力ながら努力を続ける所存ですので、これからもご指導、ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。